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Bike/180km
例年は、トラアスロンシーズンが終わると同時にバイクのトレーニングは休止していた。つまり、10〜1月までは、全くバイクに乗ることはなかったのだ。
しかし、今年は心機一転。新しいバイクを購入したこともあり、モチベーションは高く、10〜1月も月に2、3回は80km程度走った。これだけで、多くを期待するのは甘いのだが、休みなくバイクトレーニングをしたことで、いつもより1ランク上の走りができるのではないか、という予感はあった。雪の舞う中、半ベソかきながら走った日々は、無駄ではなかったのか。それとも、無駄に終わるのか。その答えが出る時が来た。
トラブルは5分もたたないうちに起こった。オートバイに乗ったマーシャル(審判)が「止まれ」と指示してくるのだ。ドラフティング(前の選手の直後を走り、空気抵抗を減らして走る違反行為)?でも、前には誰もいない。
「ゼッケンが取れかけている。ちゃんと付けなさい」と言う注意だった。バイクを止め、ゼッケンを確認すると、ピン1本でかろうじて紛失を免れていた。
バイクスタート時から、妙にゼッケンがバタつくとは思っていたが・・・。マーシャルに「ゼッケンがなくなったら、失格ですよ」と脅された。
気を取り直し、走っていると、今度はチェーンが外れた。アウター(前の大きなギア/重い)からインナーにシフトした時だ。新しいバイクになって、雑にシフトチェンジすると、チェーンが外れることはトレーニング中から頻繁にあった。
ママチャリと異なり、ロードバイクは簡単にチェーンを掛けることができる。タイムロスは少ない。その代わり、チェーンを素手で触るので、手は油まみれになる。慌てて、ウエアで拭くと、新調した高価なウエアが油まみれになった。

バイクの前半は雨。180kmの道のりを考えると、大した問題ではない。

180km、6時間を越える長い戦い。苦しい時間帯は必ずある。しかし、諦めなければ、その先に希望は見えて来る。
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新しいバイクを投入したが、思うようなタイムは出せず。アイアンマンでは、思い通りになることより、ならないことの方が圧倒的に多い。
バイクは180kmである。これ位のタイムロスは大したことではない。と思っていたが、この後、思わぬ影響が出始める。
チェーンが外れたことにより、シフトチェンジが怖くなり、自然とシフトチェンジの数が減ってしまったのである。つまり、無理して重いギアのままで走っていたのだ。練習とは全く違う走りである。そのせいか60km地点で、すでに100km以上走ったかのような疲れを脚に感じはじめた。重いギア=心拍数も上がるため、気分も悪い。血糖値が下がったのだろうか、眠気がする。その眠気が吐き気を誘う。まだ1/3、早くもペースダウン。これまでは、150kmまでは抜きまくり、その後、疲れて少し抜き返される、というのがパターンだ。しかし、今日は、すでに抜かれはじめている。
こんな序盤で崩れたのは、トライアスロン歴19年目で初めてのことで、戸惑い不安を感じた。例え180kmのバイクを終えても、もう走れないと思った。
ギアはインナーを中心に使い、走り方を変えた。とにかく我慢した。このままで終わるはずはない、調子は上向いてくるはずだと信じて。
前半はフラットで、後半は激しいアップダウンが続く。前半AV33km/hでも、あっと言う間に貯金を使い果たし、AV30km/hを割ってしまう。
復活の時は100km地点でやって来た。長いトンネルの中、気温が急激に下がる。ボトルの水をかぶったその瞬間、眠気が吹っ飛んだ。そして、急に気分もよくなり、同時に体にエネルギーが戻って来た。ここから、ペースは上がった。150kmを超えても、まだ脚は動く。バイクは1部2周回するのだが、明らかに2周目の方が速くなった。抜いていった選手に、次々と追いついた。バイクゴール手前でも、元気は残っていた。ランも大丈夫だと思える位、心身ともに回復していた。
後半、巻き返したと思ったが、予想以上に前・中盤の走りに精彩を欠いたため、タイムは6時間25分。平凡なタイムに終わった。
冬、雪の中を走った私の努力は、ここ五島で、雪のようにあっけなく散ってしまった。
バイクタイム/6:25:38(349位)
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