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2年前は800人だった参加者は、今年は1000人を越えている。新型インフルエンザ、世界的不況、そんなの“おかまいなし”の参加者増である。私は、海外のアイアンマンレースに出ていた人が、今年は不景気で国内に切り替えたのではないか、と分析している。
スタートの準備をする選手たち。1000台近く並んだバイクは壮観。平均50万円とすると、5億円分ということになる。
Swim/3.8km
この参加者増はバイクとランには、ほとんど影響がない。しかし、スイムは大問題である。それでなくても、スイムコースは混雑する。最短コースは一つしかないからだ。殴られる、蹴られる。つかまれる。のしかかられる。水中プロレスと呼ぶ人もいる位、トライアスロンのスイムは、過激だ。格闘技の要素も含んでいる。
以前、スイムから上がった時、応援の声「坂井さ〜ん」かと思ったら「坂井さ〜ん、鼻血が出てます」ということもあった。
私と同じコースを取ろうとする他の選手、波と潮の流れ。トライアスロンのスイムで闘う相手は、3.8kmという距離以外にも、あるのだ。
アイアンマンジャパンのスイムはフローティングスタートである。スタート地点が浜から約200mの地点にあり、そこで浮いた状態で号砲を待つことになる。
今年も波はおだやかで、コンディションとしては文句のつけようがない。タイムが悪かった場合、それは全て自己責任である。
午前6時現在の天候:雨、気温24.0度、湿度91%、水温22.8度、風速:南南西3.8m(以上、公式発表)
6:58、まずプロがスタートする。海に浮いている状態なので、白い波しぶきだけしか見えない。それだけでも、十分、プロの迫力は伝わって来た。
その2分後、私たち一般選手のスタートである。プロに迫る実力者から、制限時間内(15時間)の完走だけを目指す選手まで、幅は広い。
いつも通り、大混雑でスタート直後は全く泳げない。プールでフォームを修正したりしていたが、そんなこと、この状況では何の意味も持たない。2ビート(手で1かきする間にキックを2回打つ)とか4ビートとか、そんなの関係ねぇの世界。後ろの選手の手が足に当たったら、思いっきりキック!海では進むためや身体のバランスをとるためのキックではなく、自分を守るためのキックが炸裂する。
とにかく、前半は周辺の選手に蹴られないよう、殴られないよう、トラブルを避けることを最優先して少しずつ進んで行くしかない。
激しいバトルを繰り返しながら進む。手前と奥にライフセイバーの姿が見える。
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